かく語りき

今藤のブログ。最近の趣味は休日ジョギング。フルマラソンは未経験です。

うさぎ小屋を巡る話

底冷えした日曜の朝、厚手のジャンパーを着た息子と私は、小学校に忍び込んだ。


通用門から侵入して、左手に体育館を右手に給食室を眺めながら進み、教員用の駐輪場を抜けたところの第二校舎の裏に、目的の小屋はある。


小屋ではうさぎが飼われている。

私が知る限り、かつては二羽いた。いまは一羽しかいない。相棒の一羽はのっぴきならない事情があって何処かへ去ったのだろう。息子は、死んじゃったのかな?と淡々した声色で言った。そうかもね、と私は応じた。お引っ越ししたのかもしれないよ? そう続けるべきか考えて、結局飲み込んだ。察しているのであれば敢えて誤魔化さなくてもよい気がした。


路肩の草を引っこ抜いて、うさぎに与えた。
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めずらしく食い付きがよい。以前この小屋を訪れたときはこれほど不用意に近づいて来なかったし、ひと口つまんで終わりだったはずだ。


ひとしきり草を与えた後、息子は言った。
「うさぎさんの夜ご飯は?」

言われて小屋の中を見渡したが、餌受けは置いてあれども空っぽで餌と水は見当たらない。寝床らしき場所には枯れ草が敷いてあるが、おそらくそれは餌ではあるまい。飼育係の職務怠慢か、当のうさ公の予算消化計画の杜撰さかのどちらかにちがいない理由により、夜ご飯に該当しそうなものはどこにも無かった。


よく気づいたね。

ボクがそれを用意してあげるんだ。


息子を見下ろしながら、私は言った。
(続く)