かく語りき

単身赴任で上京してきた今藤のブログ。最近の趣味は休日ジョギング。フルマラソンは未経験です。

柚木裕子『凶犬の眼』がけっこういいね

『狐狼の血』の続編である。

へえ、こういう感じで続かせるんだ。
と思った。本を開く前に予想したのは、舞台が同じで主人公を変えるパターンだった。前作がきれいに完結していたから、視点を変えなければ物語をつなげようが無いと思ったのだ。だが、実際は逆で、主人公は同一で舞台が変わっていた。


解説によると、前作は広島抗争で今作は山一抗争を下敷にしているとある。言われてみればたしかに。山一抗争をなぞったようだ。

はてさて。うーん。
スケールが大きすぎる気がするなあ。
舞台が広いのと時の移り変わりが多いのとで、主人公個人の物語になっていないように感じた。一人称と三人称の中間というか。だから駄目というわけではないが、単に私の趣味の問題で(ちょっと合わなかった)。


あとは。
とても言いづらいのだけれども。

この主人公、実はなにもしてないんじゃね?
すんごいハードボイルドな振舞いの割に、主体性に欠けている。勝手に大物に慕われて、事件は向こうからやってきて、実力者に口利きしてみたら話がオートマチックに進展しました、幾らか起伏があったけどめでたしめでたし。に見えてしまった。たぶん、語り手にしてはハードボイルドが過剰で、俠気を見せるには相方の人物が出来過ぎなせいだと思う。



ところで話は変わって。

創作物の多くには、実在する組織をモチーフにした架空の組織が登場する。たとえば、経済小説における四菱銀行だったり、スポーツ漫画における帝拳高校だったり。でも、それらは当然、柔軟に改変されて完全に一致しないようになっている。

で、暴力団の場合。

架空の本邦最大暴力団組織は、どういうわけだか例外無く神戸に本部を置くのだ。なぜかそのまんま。本作もそう。関西弁を喋るそれっぽい極道であれば読者は納得するのだから、大阪や京都でもいいような気がするのだが。あるいは単に兵庫県でもいいだろうに。

どうして、ドンピシャで神戸なんだろうか。


不思議。いったいどうして?