かく語りき

単身赴任で上京してきた今藤のブログ。最近の趣味は休日ジョギング。フルマラソンは未経験です。

岡田英弘『倭国の時代』読了〜巡り会えてよかった本〜

読み終えるのに半月。

倭国の時代 (ちくま文庫)

倭国の時代 (ちくま文庫)


記紀をこねくり回す本は、だいたい時間が掛かる。

目を覆いたくなる系図
長い片仮名のヒコとヒメ。
個性を見分けづらい名の皇子たち。

目が滑る。

異母兄妹や従兄妹の婚姻関係を示す複数の線。
ヤマトトトビモモソヒメやヒメタタライスズヒメ
なんたら軽皇子とほにゃらら大兄王。

ひたすら読みづらい。


時間の前後が多くて混乱する。宮を頻繁に移すから舞台の広さを掴めない。素養不足で歌謡に感情移入できない。しかも、書いてあることは結局、皇位継承の揉め事ばかり。記紀の解説とはそういうものなのだろうけど、なんのこっちゃ? である。ネコネコ日本史くらい簡潔にして欲しい。


要するに、私には教養が足りない。

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それはいいとして。
挑発表現が目立つなあ。

『よくもこれだけ』『おしゃべりの暇つぶしに過ぎない』『時代錯誤と言うほかはない』などなど。従来説の否定はけっこうだが、感情を込めすぎだと思う。

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どれだけ奈良盆地に古墳や出土品が多くたって何の足しにもならない。崇神陵や垂仁陵から漢字を刻んだ墓誌銘でも掘り出さない限り、考古学はこの問題について役に立たない。

主題は、神武天皇以下十三代は架空の存在。

神武はともかく、この考えは大賛成。


邪馬台国論を眺めていて常々思うのだけれども、どれだけ大規模な集落跡が発見されようと、卑弥呼の居城の証明にはならないんじゃないかな。考古学で女王国を全解明するのは、たぶん無理だ。いくら発掘しても、相応しい遺跡が見つかるだけで、特定には至らないと思う。それこそ親魏倭王の金印か、存在したであろう親晋倭王の印を掘り当てない限り。

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古事記』は(中略)、実はそれより百年以上も後の平安時代の初期の偽作であって、

うーん。示された根拠には納得。

でも、自分の氏族の正当性を高める目的だけで、個人がつくれる代物かね。著者渾身の超傑作どころじゃないと思うんだが。

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そもそもヤマトとは「山外」の義であって、「河内」に対して「山の向こうの辺境」を意味する。

ふーむ。まあ、ヤマは山でしょうな。

穏やかな瀬戸内海。終点の摂津。大和川水運の河内。上流に位置する水はけのよい大和。全部セット。ゆえに奈良は栄えた。

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原因は全く中国側にあって(中略)、晋朝が急激な自壊作用を起こし、破壊への道を突っ走りはじめたからである。

冒頭に書いた記紀の解釈が続くのは半ばまで。後半は中国に視点が移るのだが、これが滅法おもしろい。

中国の拡張と収縮が、朝鮮と日本の成り立ちにどのような影響を与えたか。


そう。そうなんだよ。世界の中の日本だ。ご先祖さまは、隔絶した大海の孤島に篭ってたわけじゃない。独力で文化を築いたのでもない。世界を知っていた。世界を知り、知らされ、混じり合って、日本をつくった。

それを人の動きで説明してくれるから、頭にスッと入ってくる。


あまりにおもしろかったので、別著もお買い上げ。

倭国とは関係ないんだけど、稲の古語は「さ」なんだとか。知ってた? それとも、あっそ…でしょうか。


稲の苗は、サナエ(早苗)
田植えをする少女は、サオトメ(早乙女)
田植えの月は、サツキ(五月)
その時期の長雨が、サミダレ(五月雨)

いまに残る倭人の言葉。こういうのが知りたくて、私は歴史に興味があるフリをしている。またよろこばしからずや、だよ。


ところでふと思ったんだが、乙女と弟は、同じ「ヲト」だろうか。ひょっとして、夫(おっと)も?

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