かく語りき

単身赴任で上京してきた今藤のブログ。最近の趣味は休日ジョギング。フルマラソンは未経験です。

男の手作りプリン

ひょっとして、プリンっつうのは牛乳と卵と砂糖だけで出来てるんじゃあるまいか?

ふと、そんなことが頭をよぎった。なぜかはわからないがよぎったのだ。そして、そうであれば私にもつくれそうな気がした。というより、その組み合わせなら失敗しても大惨事にはなんねえなと思った。


じゃあやってみよう。
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厨房に立つ。

「やるやる。僕にもやらせてよ」
すぐさま長男が寄ってきた。任天堂スイッチを持ってきてプリンのつくり方動画を映しだす。へえ。スイッチってそんな使い方もできるのか。便利だなあ。

よし。やりたければおやりなさい。

ただし。牛乳と卵だからな。汚したらお母さんめっちゃ怒ると思うぜ。


牛乳300ccと砂糖40gをレンジで温めて。
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その間に卵を溶く。

以下すべての作業を分捕られた私はただのカメラマンである。私が言い出しっぺなのに。

砂糖の量がものすんごい。
山盛りの砂糖。コーヒーシュガー十杯分以上。たかが40グラム。されど40グラム。覚醒剤なら蔵が立つ(立たない)。


レシピ動画は生クリームを要求しています。
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あるわけないだろ。そんなん。思いつきでつくりはじめたんだから。無視だ無視。

続いてバニラエッセンスを要求した。

だから無いんだってば。無視だ無視。
「あるよ、お父さん」
長男が冷蔵庫から引っ張りだした。え、あるの?ていうか、なんで君がありかを知ってるの?


卵はしっかり濾してください。
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むずかしいことを言う。

濾せときたか。うーん。頭を抱える。思いつくのはコーヒーの濾過紙。あとは急須の茶こし。どうしよう。

「あるよ、お父さん」
またしても長男。ドラえもんか君は。きっと、お母さんが不在のときに台所をゴソゴソやってるんだろうな。

ところで、これは本来どういう使い方をする器具なのだろう。小麦粉をぱんぱんするやつ?わからないな。卵まみれにしてもいいのか?わかるわけがない。が、妻に叱られるとしたらココだ。直感がそう言っている。

あとで念入りに洗っとこ。


極弱火で熱を入れましょう。
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弱火で三十分。眺めるだけ。退屈。

「沸騰してるよ、お父さん」
は?マジで?
やっちまったか。火力最小にしたのに。プリンではなく玉子焼きが出来上がりそうな予感。


カラメルづくりもね。
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黒い蜜はなくてもえんちゃう?

と面倒くさがりの私は主張した。それでは駄目だと長男は譲らない。意外と完璧主義やな、おまえ。


なんかちがいますね。
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出涸らしのコーヒーみたいな汁が出来た。

「冷めたら真っ黒でトロトロになるんだよ」
と長男は言うが、私にはそう思えない(実際ならなかった)。砂糖の種類がちがうのかしら?



というわけで出来上がりです。

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私はつくってみたかっただけで食べたかったわけではないのでひと口つまんだだけなのですが、おいしく出来たんじゃないでしょうか。


長男の喜びようはかなりのもの。
母と弟は何時に帰ってくるのか、いつだ、まだかとうるさい。冷蔵庫で冷やす際もできるだけ秘密にしておきたいらしく、奥の方に隠していた。まだまだかわいいお年頃。



何事もやってみることが大切やね。
けっこうおもしろかったよ。サンキュー!プリン!

ぬか漬けリターンズ

そろそろ、ぬか床やな。

と妻が言ったのは、四月か五月だったか。
よっしゃよっしゃ。敬虔なぬか漬け教徒である私は、たいそう喜んだ。無学な私はこのときはじめて知ったのだが、ぬか漬けは夏の食べものであるらしい。へえ。そうなんですか。年中おいしいのに。てゆうか、冷蔵庫で漬けるんだから夏も冬も無かろうよ。慣習に囚われず、年がら年中漬けてくださいな(私が勝手にぬか床を用意すると冷蔵庫が汚れると言って叱られるから、しない)。



そして日は経ち、二日前。
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冷蔵庫の奥底で発掘した。

ぬか床のことなんてすっかり忘れてた。そういえばそんな話をしたっけかねって感じだ。中をゴソゴソしてみた。萎びたきゅうりが三本ある。ちくしょうめ。抜け駆けか。私に内緒でぬか床を育ててやがったのか。

いてもたってもいられなくなった私は、鬼の形相でスーパーまで走っていき、四分の一大根(お安い38円)を購入した。

そして、すぐさま放り込んだ。



ひゃっほーい!じゃじゃーん!
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大根のぬか漬け(養生2日)

先住民の萎びたきゅうりは二本になっている。はてさて。妻はいったいいつ食べているのだろう。目にしてないが。夜中?


じゃじゃーん!
と書いたけれども、実はきのうも食べた。何日も待てないし。ただし、一晩では残念ながら漬け込み不足。味は申し分ないのだが、生のようなものだから胃が荒れる。


さてと。食べっかね。

人前では絶対にしないし、妻の前ですらしないけれど、私は切らない漬物が好き。醤油を少し垂らして、かたまりのままかぶりつくのだ。ガブっと。そうとしか表現しようがないくらい、ガブっとかじる。ガブっ。

しあわせなんだな。これが。



shabaduvitouch.hatenablog.com

柚木裕子『凶犬の眼』がけっこういいね

『狐狼の血』の続編である。

へえ、こういう感じで続かせるんだ。
と思った。本を開く前に予想したのは、舞台が同じで主人公を変えるパターンだった。前作がきれいに完結していたから、視点を変えなければ物語をつなげようが無いと思ったのだ。だが、実際は逆で、主人公は同一で舞台が変わっていた。


解説によると、前作は広島抗争で今作は山一抗争を下敷にしているとある。言われてみればたしかに。山一抗争をなぞったようだ。

はてさて。うーん。
スケールが大きすぎる気がするなあ。
舞台が広いのと時の移り変わりが多いのとで、主人公個人の物語になっていないように感じた。一人称と三人称の中間というか。だから駄目というわけではないが、単に私の趣味の問題で(ちょっと合わなかった)。


あとは。
とても言いづらいのだけれども。

この主人公、実はなにもしてないんじゃね?
すんごいハードボイルドな振舞いの割に、主体性に欠けている。勝手に大物に慕われて、事件は向こうからやってきて、実力者に口利きしてみたら話がオートマチックに進展しました、幾らか起伏があったけどめでたしめでたし。に見えてしまった。たぶん、語り手にしてはハードボイルドが過剰で、俠気を見せるには相方の人物が出来過ぎなせいだと思う。



ところで話は変わって。

創作物の多くには、実在する組織をモチーフにした架空の組織が登場する。たとえば、経済小説における四菱銀行だったり、スポーツ漫画における帝拳高校だったり。でも、それらは当然、柔軟に改変されて完全に一致しないようになっている。

で、暴力団の場合。

架空の本邦最大暴力団組織は、どういうわけだか例外無く神戸に本部を置くのだ。なぜかそのまんま。本作もそう。関西弁を喋るそれっぽい極道であれば読者は納得するのだから、大阪や京都でもいいような気がするのだが。あるいは単に兵庫県でもいいだろうに。

どうして、ドンピシャで神戸なんだろうか。


不思議。いったいどうして?

丈夫な体になりたくて

走るのが好きじゃないと少し前に書いたばかりだが、最近も、いちおう走っている。


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ただし、一生懸命だとか自分なりにがんばるといったふうな走り方はやめた。

というか、諦めた。断念した。


私の場合、けっこうな頻度で夏場のジョギング後に頭痛が起きる。痛みが生じるとその日はもう散々で、夜中まで頭を抱えて過ごすようになる。原因はわからない。が、体調の問題ではないように思う。事前に朝食を摂ろうと睡眠が充分だろうと前日に酒を抜こうと、痛むときは痛むのである。いまになって振り返ってみれば、子どもの頃も、部活の後に頭痛で悩むことがしばしばあった。どうやら、熱中症という言葉が流行る前から私は熱中症で苦しんでいたらしい。

こうして私は、(こりゃ体調じゃなくて体質なんだな。夏はがんばったらいかんってことだ)と悟ったのである。



無理はしんとこ。
抑えて抑えて。呼吸が乱れないくらいの速さで。距離は5キロを目安に。物足りないと感じる程度で。それならだいじょうぶだ。少しも楽しくないけれど。



ところで、そうやってダラダラとつまらなそうに走る私の頭の中では、『きぶんはスポーツ』が流れている。

近頃のEテレのヘビロテ曲だ。

特別に良い歌とは思わないが、どういうわけか最近のお気に入りになっている。映像の気合いの入れようとオールスターの出演っぷりを見るに、オリンピックの目玉曲として用意されたのかしら?と勘繰るのだけれども、それはどこかに去ってしまったことだし、お蔵入りするなり、来年まで寝かせるなりしたらいいのにね…などと余計なことを考えながら、私の頭でループしている。

実際はそうもいかないでしょ、つくっちゃったんだし。つくり直すのはたいへんだし。なにより、来年の夏になったらスイちゃんは別の顔になっちゃうし。などとやはり余計なことを考えながら、二周三周と私の頭でループされる。


とてもじゃないがランナーを名乗れない私ではあるが、きぶんは、である。きぶんだけはランナーなのだ。

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なにはともあれ。

丈夫な体になりたくて、
走った後は、セノビーを飲んでいる。

妻がいない休日の夜

夜、妻と次男坊が実家に行き、不在した。


いつもなら同行する長男は、私と留守番だ。

長男は居間で英語の勉強をはじめた。
邪魔にならない程度に眺める。小学生の英語のお勉強は筆記よりも音読を重視するらしい。声が聞こえる。whereの単語があらわれると、それに引っ張られるように we areの読みがおかしくなっていく。

ま、がんばりたまえ。

と思う私の内心は、(居間で勉強すんな。勉強は自室に篭って孤独な環境でやれ)であったり、(英語なんていまからはじめなくていいよ。それよりも理科と社会をがんばりなさい)であるのだが、学校教育にケチをつける度胸はないし、私個人の信念に息子を巻き込む覚悟もないから、言わない。




今夜は何を食べようか?

キムチチャーハンがいい!と返ってきた。残念ながら却下だ。チャーハンは夜に食べるものじゃない。けれども、意見を求めておきながらの完全無視は非道すぎるので、協議の末にキムチ鍋とキムチ雑炊をつくった。


妻と一緒になって得た最大の教訓がこれである。

「何がいい?」
と妻はよく尋ねる。
「あれがいいな」
と少し考えて私は応える。
だが、私の意見が参考にされることはほぼ無い。
「それはないわ」
即座に否定されることもしばしば。これが何度も起きると、こちらも相応の回答しか返さなくなる。

「なんでもいいです」
だ。どうせ聞き入れられないのだから。


そんなくだらないやりとりを幾度となく繰り返した結果、私は、家庭職場年長者年少者によらず、人に意見を求めた以上、得られた回答にはなにがしらの誠実な対応が不可欠と学んだ。

だから、今夜はキムチ鍋なのである。




食後にふたりでテレビを眺める。

カルビーの宣伝のような番組が流れていた。
お宅の局はカルビーの広報部ですかい?みたいな内容だ。みんな大好き!を装った商品PR(というか、節度を欠いた企業寄り)の番組で、最近よく目にする。やりすぎちゃうかなあ…と思わないでもないが、意外とおもしろいので消さずに眺めている。


眺めていれば当然食べたくなるわけで。
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普段は絶対にしないけれど、お母さんが居ないならいいんじゃない?たまにはさ。てな感じでコンビニに買いに行った。

ポテトチップをつまみに焼酎を呷る。




で、泥酔した。

酔った私は掃除をはじめる。なぜか、普段はしない狭隘なところをキレイにしたくなるのだ。


ガス台を磨き、オーブンレンジを分解して洗剤でゴシゴシ。ひと作業ひと焼酎。グラスを傾けながら、次はあれだな…と決める。

扇風機の羽。三台の掃除機のゴミ取りとフィルターの清掃。ガチャガチャうっさいなあと長男が言う。

すまんね。あとはカーテンレールの上を雑巾掛けするだから。もう少しだけ、ね。


明日の朝になれば、帰宅した妻に怒られる。

余計なことをするなと。けれども、酔っぱらった私は、次回も懲りずに掃除をはじめるにちがいない。別に家の清潔さに不満があるわけじゃない。家事手伝いとは微塵も思っちゃいない。ただ、手が寂しいからやるのだ。

どうか怒らないでほしい。酔っぱらった末の余計なことにしてはかわいいものでしょうよ。寛大な心で見過ごしてくれると助かる。



そのようにして、妻が不在した休日の夜は何事もなく穏やかに過ぎていったのである。

ツナサンドをつくろう!

三十分と少し走った。

真夏のジョギングは、残念ながらあまり楽しくない。身の危険を天秤に掛けてまで私は走らなきゃいかんのかしら?と思いながら走った。たぶん、私は走ることがそれほど好きではないのだろう。汗をかきたくて走っているだけなのかもしれない。だから、黙っていても汗をかく夏場には走る欲求が失せてしまうのだ。なんとなくそんな気がする。


走り終えたら昼食を。

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きょうはツナサンドイッチの日だ。

長男に任せた微塵切りの玉ねぎは、あまり微塵になっていない。ああもう。天を仰ぐ。だが、ここで注意したり出しゃばったりしたら長男が料理嫌いになってしまうおそれがあるから、そのままにしておく。

どうせ食うのは我々ふたりだ。


ツナサンドのコツ?
そうだねえ。とっておきをひとつ紹介しようか。美味いツナサンドを食いたければ、玉ねぎに塩をまぶしておきなさい。十五分ほど置いて水を抜くのだ。べちゃべちゃなサンドイッチほど忌むべきものは無い。水気を十分に除いたほうがいい。


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さあさあ出来た。

えらそうに述べているが、ツナサンドをつくるのは初めてだ。どこかで耳にした他人の蘊蓄を真似ただけである。

マヨネーズがお好きでない長男とマヨネーズにあまり関心がない私がつくるサンドイッチに、マヨネーズは入らない。代わりにスライスチーズを少しだけちぎって加える。あとは、レモンを絞るか悩んでけっきょくやめた。たしかに酸味は欲しいが、あれもべちゃべちゃの一因なのだ。


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うまい。

トースターで焼いたばかりのパンと自ら選んだ具材から成るサンドイッチには、コンビニはもちろん、パン屋やサンドイッチ専門店ですら敵わない。

というわけで、ごちそうさま。

柚木裕子『狐狼の血』をいっぺん読んでみて!

警察小説は割と好き。極道小説はもっと好き。


いやあ、ほんとうに良い小説をつかまえた。僥倖ですよ。僥倖。巡りあいに感謝です。

アンテナは低い(けど、避雷針だけはたいそう立派な)私にしては上出来に過ぎる。作家買い決定なんじゃないでしょうか。しばらくの間はこの作家を信じていればハッピーまちがい無しな気がする。適度なハードボイルド具合がたまらなく良い。


と、言ってもだ。

実は、本屋でこの本を手に取った私はうんうん唸っていたのである。

文字どおりにうんうんうんうんと。けっこう悩んだ。うんうんうんうんと。そりゃまあ、あらすじだけ眺めればすばらしいとしか言いようがない。どストライクの大好物だ。警察小説でヤクザで広島で昭和。申し分ない。最強の組み合わせである。


けれども。
けれどもけれどもけれども。


シリーズ小説と書いてあったんですよね。

うへえ、そういうやつか。
テンションだだ下がり。シリーズ化が駄目とは言わないが、経験上、シリーズ化前提で書かれた小説は総じて駄作なわけで。いや、マジな話。この小説はだいじょうぶかしら?と勘繰ってしまう。もしもキャラ萌え小説だったり、謎は次作に持ち越し系だったりしたら、ぶん投げんぞコラ!と思ってしまったのは経験上の理由によるものだから、どうしようもない。ゆえに本屋でうんうん唸っていたのである。


杞憂だったのだが。

警察小説らしい抑揚を控えた表現が、ミステリーにありがちな仰々しさと極道小説にありがちなくっさい仁義をうまく打ち消していて、ハードボイルドが終盤まで続いている。

こりゃもう作家買い決定やね。



と、まあ、べた褒めはここら辺にして、以下に本筋とは関係ない所感を少々。


舞台は昭和63年の広島呉。
しかしながら、作中の呉弁は私が知っているそれとはだいぶちがっている。

私は、昭和63年に青年だった主人公と同年代の呉の爺ちゃんたちを幾人か存じているが、彼らの言葉はまったくちがっている。職場には私と同世代の広大出身者がいるけれど、彼の言葉もやはり小説と異なる。私が知っている呉の人は、なんていうのかなあ、もっと、じゃけえじゃけえ喋るのだ。実態はそうじゃないのかもしれない。でも、私の違和感は相当だ。

(ちなみに、彼の地では女の子もじゃけえじゃけえ言う。いっぺん、生で聞いてほしい。女性の「そうじゃけんね!」のかわいらしさと言ったら洒落になんないくらい破壊力があるから)


呉弁の実際は知らないけれど、文中の呉弁と接した私は、呉というより備後か美作のほうの言葉っぽいと思った。

率直にいえば、津山三十人殺しを思い浮かべた。